
不動産売却で確定申告が必要になるケース
不動産を売却したからといって、すべての人が必ず確定申告をするわけではありません。基本的には、売却によって利益となる譲渡所得が発生した場合に確定申告が必要です。譲渡所得は、単純に売却価格だけで判断するものではなく、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。取得費には購入代金や購入時の仲介手数料などが含まれ、建物については所有期間に応じた減価償却費を差し引く必要があります。譲渡費用には、売却時の仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、建物を取り壊して土地を売った場合の解体費などが該当します。
計算の結果がプラスであれば、会社員で年末調整を受けている方でも、不動産の譲渡所得について申告しなければなりません。不動産の譲渡所得は、給与所得などと分けて税額を計算する分離課税です。また、税率は売却した年の1月1日時点の所有期間が5年を超えるかどうかで変わります。売却代金が購入代金より安くても、建物の減価償却を反映すると利益が出ることがあるため、見た目の金額だけで不要と判断しないことが大切です。([国税庁][1])
利益が出ていなくても確定申告が必要な場合
譲渡所得がマイナスで、利用する特例もない場合は、原則として不動産売却についての確定申告は不要です。ただし、税負担を軽くする特例を使いたい場合は、税額が最終的にゼロになるケースでも確定申告が必要です。代表的なものが、マイホームを売却した際に一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。利益が3,000万円以内だから自動的に税金がかからないのではなく、必要書類をそろえて申告し、特例の適用を受ける必要があります。
また、マイホームの売却で損失が生じた場合には、一定の要件を満たすことで給与所得などとの損益通算や、翌年以後への繰越控除を利用できることがあります。このような制度も申告をしなければ適用されません。一方、一般的な土地や投資用物件の売却損は、原則として給与所得や事業所得とは相殺できません。相続した不動産を売却した場合には、相続税の一部を取得費に加算できる特例や、一定の空き家に関する特別控除が使える可能性もあります。特例ごとに期限や要件が異なるため、売却前後の段階で確認しておくと安心です。([国税庁][1])
確定申告の準備と手続きの進め方
不動産売却の確定申告は、原則として売却した年の翌年に行います。準備では、売買契約書、購入時と売却時の仲介手数料の領収書、登記事項に関する資料、取得費や譲渡費用を証明する書類などを整理します。特例を利用する場合は、戸籍の附票や住宅ローン残高証明書など、追加書類が必要になることもあります。購入時の契約書が見つからない場合でも、取得費を推定できる資料がないか確認し、安易に売却価格の5%を概算取得費として計算する前に専門家へ相談することが重要です。
手続きは、次の流れで進めると分かりやすくなります。
売却価格を確認する
取得費と譲渡費用を集計する
適用できる特例を確認する
譲渡所得の内訳書と確定申告書を作成する
必要書類を添えて期限内に提出する
納税がある場合は期限までに支払う
国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面の案内に沿って入力できます。ただし、共有名義、相続、取得費が不明な物件、複数の特例が関係する売却では計算が複雑になりやすいです。不動産売却で確定申告が必要か迷ったときは、税務署や税理士に早めに確認し、申告漏れや特例の使い忘れを防ぎましょう。([国税庁][2])
